2022年11月29日、拼多多は2022年度第3四半期の決算を発表した。それによると売上高は前年同期比65.1%増の355億元となり、純利益は105.9億元で創業以来初めて四半期での利益が100億元を突破した。拼多多は創業以来、低価格の商品を武器にして成長を続け、後発ながら淘宝や京東と共に中国3大ECプラットフォームと称されるようになった。2022年、不安定な世界情勢やコロナによる都市封鎖などの影響でライバル企業が大きく利益を減らす中、拼多多の好決算は驚きをもって受け止められた。
前月11日に開催された中国最大のオンラインセール双11では、淘宝と抖音がライブコマースを戦いの舞台として激しい競争を繰り広げた。抖音はトップライブコマーサーが淘宝に移籍するという不利な条件の中で一定の成果を挙げたが、淘宝は巨額の投資に見合う成果が出ていないように見えた。ライブコマースという新たなビジネスモデルでの競争激化は大きな注目を集めたが、漁夫の利を得たのはシンプルな戦略を採った拼多多だったのかもしれない。ライブコマースでは配信中に割引券を取得するなど複雑な操作が必要なのに対し、拼多多はユーザーに対し直接安い価格を提示したのだ。
拼多多が低価格で商品を提供できる背景には、多額の研究開発費を費やし、デジタル家電・化粧品・農産物などの分野でサプライヤーと関係強化を進めてきたことがある。実際に拼多多は2022年度第3四半期でも前年同期比11.4%増となる27億元の研究開発費を投じ、その額は過去最高を記録した。拼多多が公開している研究開発プロジェクトのひとつに100億元規模で進めている農業事業がある。その中では小麦の新品種開発や、イチゴやトマトなど季節の影響を大きく受ける野菜や果物の品種改善に取り組んでいる。
さらに拼多多が初めて海外市場に向けてローンチしたTemuも順調な滑り出しを見せた。Temuの公式アプリはアメリカのアプリストアのダウンロードランキングで何度も首位を獲得した。中国国内での成長を牽引した共同購入の手法は、アメリカ市場でもうまく機能しているようだ。ユーザーは知り合いを紹介するたびにより多くの割引を受けることができ、最大では無料で商品を手に入れることもできる。ただし、この国際事業Temuの業績は今回の四半期決算に含まれていないため、現時点でこの事業の収益性などの詳細を把握することはできない。
かつては『安かろう悪かろう』と揶揄されることも多かった拼多多だが、特定の分野でサプライチェーンに食い込み、よりよい商品を低価格で提供することに注力する姿勢は、ユーザーに確実に届いているようだ。拼多多の先を走る淘宝や京東がつまずいた2022年、さらに勢いを増しているように見える拼多多が彼らを追い越す日は来るのだろうか?
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