ここ数年、中国の俳優や歌手などが次々とライブコマースを始めている。ライブコマースとはネット動画配信中に商品を紹介することで、提携先から販売数量に応じた手数料収入を得られるネットビジネスだ。多くの視聴者を持つ配信者は短期間で多くの収入を得ることができる一方で、目先の利益に目がくらみ商品の詳細を把握しないまま粗悪な商品を紹介する配信者も散見される。そのため、ネット上では芸能人がライブコマースを始めることに対し否定的な意見も多いが、多くの芸能人はなぜ評判を落とすリスクを抱えてまでライブコマースを始めるのだろうか?
つい先日『人気動画配信者収入ランキング』という画像がネット上に出回り話題になった。この画像はある経済メディアが中国の人気動画配信者が2019年1月1日から2021年9月1日までに得た総収入のランキングを発表したものだ。総収入はライブコマースや企業広告、番組参加報酬などの収入を含んでいる。
ランキングのトップに立ったのは『eコマース女王』と呼ばれる薇婭viyaで、約2年半の間になんと57億元(約970億円)以上を稼いだ。僅差で2位につけたのは、約46億元(約780億円)の収入で、同じくライブコマースを主軸とし、男性ながら女性に化粧品を紹介することで有名な李佳琦だった。このレベルだと一般的な中小企業よりも多い収入を得ているのが実態だ。
3位にランクインしたのは馮提莫で、期間中の収入は25億元(約425億円)を超えた。馮提莫はゲーム実況や歌唱動画の配信をメインに活動している。
4位につけたのは約22億元(約375億円)で、四川省の田舎で料理や工芸品を製作する様子を配信する李子柒だった。動画配信の他に、個人ブランドを立ち上げて食品や工芸品などオリジナル商品の物販を行っている。
それに続くのはpapi醬、辛有志、雪梨、羅永浩といった顔ぶれで収入は10億元(約170億円)を超えている。このレベルでもまだ中国芸能界の一線級で活躍する芸能人よりもはるかに多い金額を稼ぐ。このランキングを見ると中国の芸能人が次々とライブコマースを始める理由が『お金』であることがわかるだろう。
女優の舒暢は動画配信者に転身し、ほとんど1日中ライブコマースを行っている。最高で17万人の同時視聴者数を記録し、ライブコマース人気ランキング上位の常連だ。
俳優の朱梓驍も、芸能活動は決して順調とは言えなかったが、動画配信者に転身しライブコマースを始めてからは、芸能活動時よりもはるかに多い収入を稼いでいると推測される。
人気ドラマの『愛情公寓』に出演し人気を博した女優の婁芸瀟も、最近は芸能活動が決して順調とは言えなかったが、ライブコマースを始めてからは再び注目を集めている。ただネット上では、加工フィルターのせいかもしれないが、顔が変わって別人のようだとささやかれている。
ここまでの顔ぶれを見るとライブコマースを始めるのは芸能活動で行き詰った芸能人だけだと思ったかもしれないが決してそうではない。
劉涛は現在でも一流の女優と言っていいだろう。多くのドラマや映画で主演を務めているし、司会者の仕事も多い。しかし彼女もライブコマースを行っている芸能人の一人だ。しかも自分で商品紹介をするだけではなく、他の芸能人をゲストで招待しライブコマースを行うほどの力の入れようだ。
ライブコマースは既に知名度が高い芸能人にとって始めやすいビジネスだ。芸能活動で培った演技力やトーク力も活かせるだろう。ドラマや映画の撮影に比べてより短い周期でより多くの金額を稼ぐことができる。芸能人がライブコマースを始める潮流はしばらく続きそうだ。
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