中国には旧正月に紅包と呼ばれるお年玉を送る風習がある。赤いお年玉袋に現金を入れて送ることからそう呼ばれているのだが、近年はモバイル決済で紅包を送りあう習慣が定着してきている。中でも支付宝・微信・QQの3つのプラットフォームが人気を分け合っている。今回、2016年の旧正月大晦日に行われたキャンペーンの結果が各社から発表された。
支付宝はアリババ傘下にある中国最大のオンライン決済サービスである。元々は同じアリババ傘下にあるECプラットフォーム淘宝の決済を行うためのサービスだったが、近年は淘宝から切り離され独立したサービスとして運営されている。モバイル決済にも力を入れており、オンライン・オフライン問わず多くの場所で利用できるようになっている。
支付宝には咻一咻(シウイーシウ)という周辺のお店や人などを探すための機能がある。支付宝は今回、咻一咻を用いて紅包キャンペーンを実施した。咻一咻の利用は大晦日の21:09に最高に達し、1分あたり210億回利用された。大晦日1日での合計利用回数は3245億回で、昨年の29.5倍となった。利用者の64%が三四線都市(地方都市の中規模都市)に住むユーザーだった。
それ以外に支付宝は福卡と呼ばれる「福」の字が書かれた仮想カードを5枚集めるとお年玉がもらえるキャンペーンも行った。福卡は前述の咻一咻を通して探したり、支付宝で繋がっている友達からもらったりして手に入れる。大晦日当日に約30%のユーザーが福卡を送った。5種類の福卡を揃えたユーザーは合計791,405人で、それらのユーザーは支付宝が支出した2.15億元を分け合い、1人当たり271.66元を手にした。
微信はテンセントが運営するモバイルメッセージアプリである。2014年には微信支付と呼ばれるモバイル決済機能が追加された。微信支付は支付宝に対して後発になるが、元々非常に多くのユーザーを抱えていたため急速にその実績を伸ばしている。現在はオンライン・オフライン問わず多くの場所で利用できるようになり、支付宝のライバルになりつつある。
微信支付には従来から微信紅包という機能がある。微信紅包は旧正月以外の期間でも頻繁に利用されていて、無料で指定した金額を微信で繋がっている友達に送ることができる。今年の大晦日に微信紅包を利用したユーザーは4.2億人、送受信回数は80.8億回だった。送受信は大晦日の24:06:09に最高に達して、1秒当たり40.9万回の紅包が送られた。
それ以外に微信は紅包照片と揺一揺という方法でキャンペーンを行った。
ユーザーが紅包照片を利用して朋友圏(共有タイムライン)に写真を投稿すると、その写真にモザイクがかけられ、モザイクを外した写真を見たいユーザーは投稿者に紅包を送らなければいけない。大晦日1日で2900万枚の写真が投稿され、1.92億件の紅包が送られた。
揺一揺はスマートフォン端末を振って作動する機能のことで、日本では「ふるふる」などと呼ばれている。微信は揺一揺で紅包をユーザーに配布し、大晦日当日1.82億回の紅包が微信からユーザーに送られた。
北京・上海・広州・深センに住むユーザーは大晦日17:00~24:00の間、平均で120.8分微信を利用した。そのうちメッセージを利用した時間は90.96分、朋友圏を利用した時間は29.84分だった。
QQは微信と同じくテンセントが運営するソーシャルネットワークである。パソコン時代には圧倒的な人気を誇ったが、モバイル時代に移行した近年は微信の勢いに押されつつある。QQにはQQ銭包と呼ばれるお財布機能があり、オンラインで買い物をしたり、QQ上の仮装通貨であるQ幣に交換したりできる。
QQは刷一刷と呼ばれる方法で紅包キャンペーンを行った。QQ上にランダムに表示される紅包のリンクをクリックすると協賛企業からのクーポン券などがもらえる。QQが発表した統計データによると、大晦日にQQ紅包を利用したユーザーは3.08億人に達し、合計で1894億回利用された。大晦日当日のメッセージ送信量は200億件、同時オンライン人数は2.59億人に達した。昨年の旧正月に比べて全ての数値が過去最高を更新した。なお利用者の75%以上90後と呼ばれる26歳以下の若者世代だった。
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