旅行価格比較サイト大手のQunar(去哪児)が広東省深圳を拠点とする航空会社の設立準備を進めていることが明らかになった。2016年2月29日に深圳市交通運輸委員会が申請を受けたことを認め、3月1日にはQunarもその事実を認めた。Qunarが発表した内容によると、同社は深圳に本社を持つ2社と共同で、国内線および国際線を運航するローコストキャリアの設立を進めているという。
Qunarはこの新会社に対し技術提供という形で出資をし、主にオンライン販売業務を担当する。「Qunarは創業以来、情報技術とビッグデータを利用して民間航空会社のIT化やオンライン販売に貢献してきました。今後も各方面の提携企業と共に、業界全体のサービス向上に貢献していきたいと考えています。」と同社はコメントを出している。
Qunarが航空会社設立という決断をした背景には、同社が現在立たされている苦境がある。2016年初めには国内の主要航空会社が団結してQunarへの航空券情報提供を停止し、その状況は現在も続いている。(参考記事)
それに加えて、民間航空会社が続々と自社でオンライン販売に乗り出していることも大きく影響している。昨年、海南航空は5億米ドルをオンライン旅行予約サイトの途牛に出資した。吉祥航空は淘在路上と提携し、オンライン旅行予約サイトの淘旅行を設立した。中国南方航空は6割引きのチケットを公式サイトでのみ販売すると宣言している。
航空会社は、ホテルやツアーを抱き合わせて販売することで、たとえ低価格で航空券を販売しても利益を維持することができる。一方で航空会社のこのような動きはQunarを始めとするオンライン旅行代理店にとっては大きな打撃となっている。これまでオンライン旅行代理店は低価格を武器に成長を続けてきたが、航空会社がそれよりも低価格で販売に乗り出してはなす術もない。
吉祥航空と提携して淘旅行を設立した淘在路上のCEO唐一波氏は以前次のように話していた。「自由旅行は既に新しい時代に入りました。民間航空会社が続々とオンライン販売に乗り出し、航空券と旅行の一体化が始まっています。航空会社が新たな業態へと挑戦する中、オンライン旅行代店もこれを受け入れて変化をしなければなりません。」
航空券はオンライン旅行販売において大きなウェイトを占める。航空会社の圧力が高まり逆風が続く中で、Qunarは航空会社設立という大きな賭けにでた。
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